いちご収穫後の茎の扱いに迷って、収穫後の手入れや親株はどうするのかと悩む方は多いです。特に、収穫がひと段落したあとに伸びてくるランナーの切るタイミングや、どこを切ればよいのかといった切る位置や切り方、見分け方は分かりにくいポイントです。
さらに、子株に与える肥料の量やタイミング、親株の植え替えをするべきかどうか、親株の切り離しの時期なども、栽培経験が浅いと判断が難しくなりがちです。5月の春の元気な生育期から、10月の秋の植え付けシーズンに向けて、どのような流れで管理していくかを押さえておくことで、翌シーズンの収穫に大きくつながります。

この記事では、いちごの収穫後の茎やランナーの扱い方を中心に、栽培サイクルに沿った収穫後の手入れと子株管理のポイントをわかりやすく整理して解説します。
親株はどうするかの判断基準と管理手順
ランナーを切るタイミングや切る位置と切り方のポイント
子株への肥料や10月秋の植え付けまでの管理の流れ
いちご収穫後の茎と親株管理

- 収穫後の手入れと茎の整理
- 収穫後の親株はどうする?
- 親株植え替えの適期と注意
- 親株切り離しと廃棄の判断
- ランナーの切る位置と切り方と見分け方
収穫後の手入れと茎の整理
いちごの収穫期が終盤になると、果実よりも葉や茎、ランナーが目立つ株姿になってきます。このタイミングでの収穫後の手入れは、株を長く健全に保ち、良い子株を得るためのスタートになります。
まず、いちご 収穫後 茎 の状態を確認します。古くて傷んだ葉や病気が出ている葉、折れた茎などが残っていると、病害虫の温床になりやすいため、ハサミで丁寧に切り取ります。このとき、クラウン(株の付け根部分)を傷つけないように、少し余裕をもって葉柄を残すように切ると安心です。
果実がほぼ取り終わった時期なら、収穫用の花芽や花柄も整理して構いません。今後は実をならすのではなく、ランナーと子株を育てるための生育にエネルギーを回していきます。枯れた花柄や小さな未熟果をそのままにしておくと、カビが発生しやすくなるため、収穫後の手入れの一環として早めに取り除いておきましょう。
さらに、葉が茂りすぎて株元に風が通らないと、蒸れて病気が出やすくなります。葉の枚数が極端に多い場合は、内側の古葉を間引き、光と風がほどよく入る株姿に整えることが、収穫後の健全管理の土台になります。
収穫後の親株はどうする?
いちごの親株は、収穫後もそのまま育て続けることができますが、翌年も収穫用として使えるとは限りません。一般的に、親株を連続して栽培すると、果実が小さくなったり収穫量が減ったりして、収量や品質が安定しにくくなります。そのため、多くの家庭菜園では、親株は子株をとるための株と考え、翌年の本格的な収穫には孫株やひ孫株を使う方法が選ばれています。
収穫後すぐに親株を捨ててしまうのではなく、まずはランナーを伸ばして子株を確保し、その後に処分する流れを意識すると管理しやすくなります。すでに病気が広がっている親株や、極端に株が弱っている場合は、親株はどうするかを慎重に判断し、無理に子株をとらずに早めに処分する選択も検討した方が安心です。
親株を残す場合でも、翌年まで長く引っ張るより、その年の夏から秋の間に役目を終える前提で管理しておくと、栽培計画が立てやすくなります。ベランダや限られたスペースで栽培している場合は、親株を残す数をしぼり、良い子株が取れたものから順に役目を終えさせていくと、鉢やプランターのスペースも有効に活用できます。
親株植え替えの適期と注意
親株の植え替えは、基本的には頻繁に行わない方が無難です。いちごは根をいじられるのをあまり好まず、強い植え替えを行うと生育が止まったり、夏場に株が弱ったりすることがあります。そのため、親株 植え替え は、どうしても根詰まりがひどい場合や、用土の水はけが極端に悪くなってしまった場合など、必要性が高いときに絞るとリスクを減らせます。
どうしても植え替えたい場合は、5月の春の収穫前ではなく、収穫がひと段落した後で、まだ気温が極端に高くない時期を選ぶと比較的スムーズです。この段階で、根鉢を崩さずに一回り大きな鉢にそっと移し替える程度であれば、親株への負担を抑えながら根のスペースを確保できます。
植え替え後は、水はけと通気性の良い野菜用培養土を使い、クラウンを深植えしないようにすることが大切です。クラウンが用土に埋もれると、新芽が出にくくなり、病気も発生しやすくなります。植え替え直後は直射日光を少し避け、数日は明るい日陰で慣らしてから、ふだんの場所に戻すと親株の負担を抑えられます。
親株切り離しと廃棄の判断
親株の切り離しのタイミングは、子株が十分に育ち、翌シーズンに向けた苗が確保できたかどうかで決めると合理的です。親株から伸びたランナー先の孫株やひ孫株に、葉が3〜4枚しっかりついた苗が揃ってきたら、新しい収穫用の世代が整ってきたサインと考えられます。
この段階で、親株への役割はほぼ「子株を供給すること」だけになります。株が疲れてきていたり、葉が黄変している部分が増えてきたら、無理に親株を維持せず、子株への栄養を優先する方が、その後の生育が安定しやすくなります。
親株を廃棄する前には、次の点を確認しておきます。
- 病気や害虫が多くついていないか
- 葉や茎が極端に黒ずんでいたり、腐敗していないか
- 子株側に病気の兆候が出ていないか
明らかに病気が疑われる親株は、そのまま同じ用土やプランターを使い回さず、新しい土に替えるなどしてリスクを減らします。親株を切り離し、役目を終えさせることで、新しい世代の株に十分なスペースと光、水やりの手間を集中させられるようになります。
ランナーの切る位置と切り方と見分け方
いちごのランナー 切る位置 切り方 見分け方を押さえると、子株の管理がぐっとやりやすくなります。ランナーは、親株のクラウンから細長く伸びるほふく茎で、その途中や先端に小さな葉や芽がついた部分が子株です。
ランナーの見分け方
ランナーは、普通の葉柄よりも細長く、地面を這うように伸びていきます。葉がほとんど付かないまま長く伸び、その先端に小さな葉がまとまっている部分があれば、それが子株が形成されている位置です。親株に近い順に、子株、孫株、ひ孫株、玄孫株と続いていきます。
ランナーの切る位置と切り方
子株を苗として育てる場合、まずはランナーを切らずにそのまま伸ばし、子株の根張りが安定するまで親株とつないでおきます。子株がポットや用土にしっかり根を張り、葉が3〜4枚程度に育ったら、ランナーを切る準備ができます。
切る位置の目安は次の通りです。
- 親株側:子株の付け根から親株側へ2〜3cmほど残して切る
- 子株側:さらに先に伸びているランナーは、不要であれば短く切り詰める
親株側のランナーを少し残しておくと、どちらの向きから実がつきやすいかを判断しやすく、後の栽培管理で実の向きをそろえやすくなります。切るときは、清潔なハサミを使い、一気にスパッと切ると茎の傷口もきれいに保ちやすくなります。
ランナーを切る前に、子株を指で軽く触ってみて、ぐらつかずにしっかり固定されていれば、根が十分に伸びているサインです。この確認を行いながら、順番にランナーを整理していくと、失敗を減らせます。
いちごの収穫後の茎と子株管理

- ランナーを切るタイミング目安
- 子株への肥料と水やり
- 5月春のいちご管理ポイント
- 10月秋の植え付け準備
- いちごの収穫後の茎と管理まとめ
ランナーを切るタイミング目安
ランナーを切るタイミングを判断するうえで、収穫期と収穫後を分けて考えると整理しやすくなります。
収穫期の間は、ランナーを伸ばしたままにしておくと、果実に回るはずの養分がランナー側へ分散してしまい、実が小さくなったり甘さがのりにくくなったりします。そのため、収穫を続けている間は、見つけたランナーをこまめに切ることが、良い実を収穫するためのポイントになります。
一方で、収穫が終わったタイミングからは方針が変わります。収穫後は、あえてランナーを伸ばして子株をつくり、翌年用の苗を確保する段階に入ります。このとき、伸びてきたランナー先の子株をポットや用土に固定し、発根を待ちます。子株がしっかりと根を張り、葉が増えてきたら、初めてランナーを切って独立させます。
ランナーを切るタイミングの目安をまとめると、次のような流れになります。
| タイミング | ランナーの扱いの目安 |
|---|---|
| 収穫中 | 見つけたら早めに切って果実優先にする |
| 収穫終了後 | ランナーを伸ばして子株・孫株をつくる |
| 子株が定着 | 根張りが安定したらランナーを切り離す |
このように、同じランナーでも収穫前と収穫後で役割が変わると意識しておくと、迷わずに管理できます。
子株への肥料と水やり
子株へ肥料の与え方と水やりは、苗づくりを成功させるうえで大切なポイントです。子株はまだ根が浅く、環境の変化に弱いため、急激な肥料や乾燥・過湿は避ける必要があります。
子株への肥料の与え方
ランナーでつながっている間は、子株は親株からも栄養を受け取っています。この段階で強い肥料を与えると、根が傷んだり徒長してしまう可能性があります。そのため、発根してしっかり根が伸びてきた頃から、少量ずつ緩やかに効く肥料を使う方法が向いています。
具体的には、次のようなイメージで進めます。
- 発根直後〜葉が2〜3枚の時期:肥料は控えめにし、水と日当たりを重視する
- 葉が3〜4枚以上になった時期:薄めの液体肥料を2〜3週に一度程度与える
市販の野菜用培養土には、あらかじめ元肥が含まれているものも多いため、その場合は追加の肥料を控えめにし、株の様子を見ながら量と頻度を調整します。
子株の水やり
子株は根張りが浅いぶん、鉢の表面が乾きやすくなりますが、水を与えすぎて常に湿りすぎた状態になるのも好ましくありません。表面の土が乾き始めたら、鉢底から少し水が流れ出る程度にたっぷり水やりを行い、その後は表面が再び乾くまで様子を見るサイクルが基本になります。
特に夏場は、気温が高くなる日中の水やりを避け、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることで、根へのダメージを減らせます。風通しの良い場所で管理しながら、子株の葉がしおれていないか、土の乾き具合は適切かをこまめにチェックすると、安定した苗に育ちやすくなります。
5月の春のいちご管理ポイント
5月 春は、多くの地域でいちごが最もよく実る時期です。すでに植え付けを終え、花が咲き、果実が膨らんで色づき始めている時期であり、実をおいしく育てるための管理が中心になります。
この時期は、次の点を意識して管理します。
- 収穫中はランナーを見つけたら切り、果実に養分を集中させる
- 葉が込み合っている部分を軽く整理し、風通しを確保する
- 水切れに注意しつつ、過湿になりすぎないよう鉢底の水はけを確認する
5月は日差しも強くなり、気温も高くなっていきます。プランター栽培の場合、日中の直射日光で用土が急激に乾きやすくなるため、朝の水やりでしっかり水分を行き渡らせておくことが求められます。逆に、受け皿に水が溜まったままになっていると根腐れの原因になるため、余分な水はこまめに捨てておきます。
この春の管理を丁寧に行っておくと、収穫量と果実の質が安定し、収穫後にランナーを使って子株を増やす際の親株の体力にも良い影響があります。
10月の秋の植え付け準備
10月秋は、春の収穫に向けて、育ててきた孫株やひ孫株を本格的な栽培用の鉢やプランター、畑に植え付ける大切な時期です。この時期までに、子株の葉が3〜4枚以上に育ち、根張りがしっかりしている苗を選んでおくと、その後の生育がスムーズになります。
植え付け準備では、次のポイントを押さえます。
- 用土は野菜用培養土など、水はけと保水性のバランスが良いものを用意する
- プランターの場合は、1株あたり直径25cm程度のスペースを確保する
- 植え付け時にクラウンを深く埋めず、地表に少し出る程度の浅植えにする
畑に植える場合も同様に、畝を高めにして水はけを良くし、クラウンより上に土がかぶらないように調整します。植え付け後しばらくは、急な乾燥や強い直射日光を避け、苗が新しい環境になじむまで様子をみながら水やりを行います。
10月の秋は、気温が下がり始めていちごにとって過ごしやすい季節です。この時期にしっかり根を張らせておくことで、冬越しを経て、翌春の花芽形成と収穫につながる基盤が整っていきます。
いちごの収穫後の茎と管理まとめ
いちご収穫後の茎の扱いやランナー管理を整理すると、次のようなポイントが見えてきます。
- 収穫後の手入れでは古い葉や茎を整理して風通しを確保する
- 収穫期のランナーは実への養分を優先するため早めに切る
- 収穫後はランナーを伸ばして子株と孫株をつくる段階に切り替える
- 親株は翌年の収穫用ではなく子株をとる役目として考える
- 親株植え替えは必要な場合に根鉢を崩さず負担を抑えて行う
- 子株が十分育ったら親株切り離しで新世代に栽培を集中させる
- ランナーの切る位置は子株の両側を意識して2〜3cm残して切る
- ランナーの見分け方は細長く地面を這う茎と先端の子株に注目する
- 子株への肥料は発根後から緩やかに効くものを少量ずつ与える
- 子株の水やりは表土の乾き具合を見ながら朝夕の涼しい時間に行う
- 5月春は収穫と実の充実を優先しランナー整理で品質向上を図る
- 10月秋は葉が3〜4枚の健全な孫株やひ孫株を選んで植え付ける
- 植え付け時はクラウンを埋めない浅植えで新芽の伸びを妨げない
- 親株や子株の病気が疑われる場合は土や鉢も含めて早めに更新する
- いちご収穫後の茎とランナー管理を整えることで翌年の収穫が安定する





